「この物語の冒頭ですでに記しておいたように」と前置きされ、「グリゴーリイ」は「フョードル」の最初の妻であり、長男「ドミートリイ」の母親である「アデライーダ」を憎み、反対に、二度目の妻である癲狂病みの「ソフィヤ」を庇いだてし、彼女について軽々しい悪態をつこうという気を起したりすれば、だれであろうと楯ついたものでした。
「彼の心の中で、この不幸な女に対する同情は何か神聖なものに変っていたので、二十年たった今でも、彼女のこととなると、たとえだれの口から発せられたものであろうと、遠回しな悪口さえ我慢しきれず、すぐさまその無礼者に反撃を加えるにちがいなかった。」
「グリゴーリイ」は彼女の墓を建てるように何度も「フョードル」に言ったのですが、「フョードル」がオデッサへ旅立ってしまったので「グリゴーリイ」は自分のお金で彼女の墓を建てたのでしたね。
そして「二十年たった今」と書かれていますが、この「今」というのはいつのことでしょう、物語の進行の「今」であれば、18年くらいではないかと思います、そして、13年前のことを振り返って書かれているという「今」であれば30年ということになると思うのですが、ただし、物語全体をとおしての時間の関係がはっきりとわかりませんので間違っているかもしれません。
次に「グリゴーリイ」の外貌について、冷静で、おごそかで、口数少なく、発する言葉は重みがあり慎重なものとのことです。
そういう性格ですので、「グリゴーリイ」が、口答え一つせぬ従順な妻の「マルファ」を愛しているかどうかも、ちょっと見ただけではなかなかわかりませんでしたが、実際には愛しており、妻もそのことはわかっていました。
0 件のコメント:
コメントを投稿