2017年1月2日月曜日

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修道院長は悪意にみちたこの嘘に対して頭を下げ、ふたたびおごそかに言いました。

「また、こうも言われております。『汝の身にふりかかる不本意な辱めを、喜びもて堪えしのび、心乱すことなく、汝を辱しむる者を決して憎むなかれ』わたしどもも、そのように振舞いましょう」と。

これは、先ほどの『人々われにさまざまなことを言い、ついにはいまわしき言にすら及ぶ。われすべてを聞き、心に言う。そはイエス・キリストの医術にして、わが虚栄の心を治癒せんがために遣わされたるなり』と同じですね。

対処法のマニュアルを読み上げているのと同じです。

「フョードル」は「これだ、これだからな、偽善そのものだ!わけのわからないごたくを並べやがって!せいぜい偽善者ぶるんですな、神父さん、わたしは帰りますよ。倅のアリョーシャは、父親の権利で今日限り永久に引きとりますからね。さ、イワン、尊敬すべき息子さん、わしにつづけと命令させてもらおうか!フォン・ゾーン、どうしてこんなところに残るんだい!今すぐ町の俺の家へこいよ。うちは楽しいぜ。せいぜい一キロかそこらだ。こんな植物油の代りに、子豚に粥を添えてご馳走してやらあな。いっしょに食事をしようじゃないか。コニャックをやって、そのあとリキュールだ。いいイチゴ酒があるぜ・・・おい、フォン・ゾーン、せっかくの幸せを逃すなよ!」と、彼はジェスチュアたっぷりに、わめきちらしながら外へ出ました。


イチゴ酒というのは、リキュールですが、あの赤いイチゴのことでしょうか、それともラズベリーや黒スグリなどのベリーの種類なのでしょうか。


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