第三編 好色な男たち
一 召使部屋で
第二編のお終いは、修道院を飛び出した「フョードル」と「イワン」が馬車で自宅へ帰る場面でした。
そして、第三編は、その自宅の建物の描写からはじまります。
自宅は、市の中心部から少し遠くにありましたが、郊外というほどではありませんでした。
建物古めかしかったのですが、外観の感じはいいものでした。
灰色のペンキを塗った平家で、赤いトタン屋根の建物で、中二階がついていました。
古めかしいとはいうものの、まだ十分に長保ちしそうであり、広々として、住みやすそうでした。
母屋の内部は、納戸がたくさんあり、いろいろな隠し部屋や、思いがけないところに階段が随所にありしました。
わたしの想像力不足でしょうか、この建物の間取りのイメージが浮かんできません。中二階がついていて、階段がいろいろなところについているところや広々として住みやすいというのに屋根は赤いトタン屋根でグレイのペンキを塗った建物というところなど理解できません。
そして古い家だからでしょうか、鼠がたくさん住みついていたそうです。
「フョードル」は鼠のことは平気なようで、『とにかく、夜ひとりになったとき、あまり淋しくないからな』と言っていました。
彼は寝る前に召使たちを離れにさがらせ、夜はずっとたったひとりで母屋にこもっているのが習慣でした。
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