「ドミートリイ」は、「フョードル」の家の隣の母と娘が暮らす家の庭に勝手に入り込んでいたのですね。
「アリョーシャ」が驚くのも無理はありません。
彼は、何かによじのぼって、胸までのりだして立ち、必死に両手でこちらに合図を送って、呼んでいたのですが、どうやら人にききつけられぬよう、叫ぶのはおろか、言葉を口に出すのさえ恐れる様子で、手招きしていました。
どうでもいいことですが、「何かによじのぼって」というのが気になります。
何によじのぼっても関係ないのですが、「アリョーシャ」の視線から見れば、生垣があるのですから、「ドミートリイ」の足元は見えないでしょう。
そして、「胸までのりだして立ち」と書かれていますので、胸のあたりは見えるのでしょう。
「ドミートリイ」の手招きに応じて「アリョーシャ」はすぐ生垣に走りよりました。
ということは、「アリョーシャ」が「ドミートリイ」に気づいたときは、生垣から少し離れたところを歩いていたことになります。
生垣の高さはどのくらいかはわかりませんが、「ドミートリイ」は何か台のようなもの、たとえば、木の切り株のようなものに上って背伸びしていたのでしょうか。
「お前の方でふりかえってくれたからよかったものの、でないと危うく声をかけるところだったぜ」と、嬉しそうに急きこんで、「ドミートリイ」がささやきました。
「こっちへ乗りこえてこいよ!早く!お前がきれくれたとはありがたい。たった今お前のことを考えていたところなんだ・・・」
「アリョーシャ」のほうも嬉しかった。
しかし、どうやって生垣を越えたものか、とまどっていました。
そうしていると、「ドミートリイ」が逞しい腕で肘を支え、跳躍をたすけてくれました。
「アリョーシャ」は僧服の裾をからげ、町のはだしの腕白小僧のような身軽さでとびこえました。
「よし、うまいぞ、行こうぜ!」と感激したようなささやき声が「ドミートリイ」の口をついて出ました。
「どこへです」と「アリョーシャ」まであたりに目をくばりながら、ささやきました。
しかし、自分たち二人以外だれもいない、無人の庭にいることに気づきました。
庭は小さかったけれど、それでも女主人の家は二人のいるところから少なくとも五十歩くらい離れていました。
その小さいという庭のことは、あとに書かれていますが、一ヘクタール強あります。
正方形として考えると、1ha(ヘクタール)は100m×100mです。
全然小さくないですね。
生垣のところから家まで五十歩くらいと書かれています。
五十歩とは、何メートルでしょうか。
前に【123】の時に、「ゾシマ長老」の僧庵が修道院から四百歩と書かれていて、その時の計算方法で315メートルほどと仮定しましたので、五十歩はだいたい40メートルくらいとなります。
建物がだいたい庭の真ん中あたりにあって、建物の大きさも考えると、そのくらいでいいかもしれません。
しかし、尺貫法の歩(ぶ)というのもあり、これは日本では伝統的に6尺であり、1尺が30.3センチメートルなので約1.8メートルになり、これだと四百歩は720メートルで、五十歩は90メートルになりますが、これはおかしいですね。
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