2017年2月24日金曜日

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「ドミートリイ」の会話の続きです。

「これから先はごく簡単に説明しよう。モスクワに着くと彼女たちの事情は、稲妻のような早さと、アラビアン・ナイトのような意外さで急転した。彼女の大切な親類にあたる将軍夫人が、いちばん近い相続人である親しい二人の姪を、突然いっぺんに失くしたんだな。二人とも天然痘で同じ一週間のうちに死んでしまったんだ。すっかり、ショックを受けた老夫人は、カテリーナを救いの星のように、実の娘のように喜んで迎え、とびつかんばかりにして、すぐさま遺言状を彼女のために書き改めたものさ、でもこれは先行きの話で、さしあたり当座は、八万ルーブルをぽんと手渡して、さ、お嫁に行くときの持参金だよ、好きなようにお使い、と言ったそうだ。ヒステリー女だよ、俺ものちにモスクワでとくと拝見したがね。ところで突然そのころ、俺は郵便で四千五百ルーブル受けとったというわけだ。もちろん、こっちは狐につままれたみたいで、口もきけぬほどおどろいたよ。その三日後に約束の手紙がきた。その手紙も今でも手もとにあるよ、いつも身につけているし、死ぬときも持って行くんだ。なんなら見せようか?ぜひ読んでくれ。結婚を申し込んできたんだ、彼女のほうから申し出てきたんだよ。『気も狂うほど愛しております。あなたに愛していただけなくとも、かまいません。ただ、わたくしの夫になってくださいませ。でも、お恐れになりませんよう。わたくし決してあなたを束縛いたしませんから。わたくしはあなたの家具に、あなたがお踏みになる絨毯になります・・・永遠にあなたを愛したいのでございます。あなたご自身からあなたを救ってさしあげたいのです・・・』」

「ドミートリイ」の会話の途中ですが一旦切ります。

この「カテリーナ」の事件は、一体いつのことで、場所はどこなのでしょうか、わからなくなりました。

「ドミートリイ」が「フョードル」から最後のお金をもらったときですので、つまり「・・・ちょうどそのころ、俺が正式の権利放棄書を送りつけて、つまりこれで《清算》にするから、今後は何も要求しないと言ってやったのを受けて、親父が六千ルーブル送ってよこしたんだ。・・・」とありましたから、これは、自信がないのですが、7~8年前で「ドミートリイ」が21歳くらいの時で場所はモスクワでしょうか、わかりません。

この会話の部分だけ少し整理すると、「カテリーナ」の母はすでに死んでいますので、両親ともいなくなりました。

そして、母方の祖母というのは亡くなった将軍の妻です。

祖父の将軍はいつ亡くなったのかわかりませんが、娘つまり「カテリーナ」の母親が、中佐と結婚したときには、彼女は偉い将軍の娘であるにもかかわらず持参金がなかったと書いてありました。

もしも、持参金があればこのような事件はなかったかもしれませんが、中佐の浪費癖を見抜いていたから持参金を渡さなかったのかもしれません。

作者は綿密に辻褄の合わせています。


そして、驚くような展開です。


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