少年つまり「スメルジャコフ」はゴーゴリの『ディカニカ近郊夜話』を通読しましたが、不満顔で、一度も笑わぬばかりか、むしろ眉をひそめて読み終えました。
「どうした?おかしくなかったか?」と「フョードル」はきいてみました。
「スメルジャコフ」は黙っていました。
「返事をせんか、ばか者」
「嘘ばかり書いてありました」と、薄笑いをうかべながら、「スメルジャコフ」はぼそりと言いました。
「じゃ勝手にしろ。貴様ってやつはどこまで下男根性なんだ。待て、それじゃスマラグドフの『世界史』はどうだ、これなら本当のことばかりだぞ、読んでみろ」
しかし、「スメルジャコフ」は「スマラグドフ」を十ページも読みとおしませんでした。
退屈に思われたのです。
それきり本棚はまた閉ざされました。
「フョードル」に「貴様ってやつはどこまで下男根性なんだ」と言われるくらいですから「スメルジャコフ」はよほど頑固者というか、反抗的な変わり者ですね。
「スマラグドフ」の『世界史』はネットで調べましたがわかりませんでした。
ただ、「スマラグドフ」と言う名前は後でまた出てきます。
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