2017年3月16日木曜日

350

少年つまり「スメルジャコフ」はゴーゴリの『ディカニカ近郊夜話』を通読しましたが、不満顔で、一度も笑わぬばかりか、むしろ眉をひそめて読み終えました。

「どうした?おかしくなかったか?」と「フョードル」はきいてみました。

「スメルジャコフ」は黙っていました。

「返事をせんか、ばか者」

「嘘ばかり書いてありました」と、薄笑いをうかべながら、「スメルジャコフ」はぼそりと言いました。

「じゃ勝手にしろ。貴様ってやつはどこまで下男根性なんだ。待て、それじゃスマラグドフの『世界史』はどうだ、これなら本当のことばかりだぞ、読んでみろ」

しかし、「スメルジャコフ」は「スマラグドフ」を十ページも読みとおしませんでした。

退屈に思われたのです。

それきり本棚はまた閉ざされました。

「フョードル」に「貴様ってやつはどこまで下男根性なんだ」と言われるくらいですから「スメルジャコフ」はよほど頑固者というか、反抗的な変わり者ですね。

「スマラグドフ」の『世界史』はネットで調べましたがわかりませんでした。


ただ、「スマラグドフ」と言う名前は後でまた出てきます。


0 件のコメント:

コメントを投稿