「フョードル」が話したいことがあるからと、明日の朝「アリョーシャ」に来るようにと呼び寄せましたが、一体何の話でしょう。
そして、「来る際には、自分の意志で来たようなふりをしてくれ、見舞いに来たふりをな。俺に呼ばれたことは、だれにも言うなよ。イワンには一言も話すな」
これは、意味深な発言ですね。
「フョードル」が「グルーシェニカ」のために、三千ルーブルの金包みを用意していることを知っているのは「ドミートリイ」と「スメルジャコフ」だけで、「イワン」は知りません。
「ドミートリイ」は「イワン」をチェルマーシニャ村に行かせてその間に「フョードル」が「グルーシェニカ」を呼び寄せる魂胆だということも「スメルジャコフ」から聞いて知っています。
しかし、なぜ「スメルジャコフ」はそんなに詳しく知っているのでしょうか。
「フョードル」がそんなことまで「スメルジャコフ」に話すわけはありませんので、彼が自分で判断したのでしょう。
そして、「スメルジャコフ」は「イワン」を尊敬しているのですから、そのようなことを「イワン」には話さず、「ドミートリイ」に話しているのも不思議です。
それとも、「イワン」は知っていて知らないふりでもしているのでしょうか。
「フョードル」が「イワン」に内緒で「アリョーシャ」に話したいことは、なんだかわかりませんが、「フョードル」だけが知っている相当重要なことなのかもしれません。
「わかりました」と「アリョーシャ」は、明日の朝の約束を引き受けました。
「さよなら、坊や、さっきは俺をかばってくれたっけな、一生忘れんよ。明日お前に話しときたいことがあるんだ・・・ただ、まだ考えにゃならんのでな・・・」
「今は気分はどうですか?」
「明日は、明日になりゃ起きだして、出かけるよ。すっかり元気さ。元気なもんさ、元気なもんだよ!」
ここで三度も、元気ということを強調しています。
しかしそれは明日になればということです。
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