「アリョーシャ」が庭を通りぬける際、門のわきのベンチに座っている兄の「イワン」に出会いました。
「イワン」は腰をおろして、手帳に鉛筆で何やら書きこんでいるところでした。
「アリョーシャ」は「イワン」に老人が目をさまして意識もはっきりしていることや、自分は修道院で泊る許しをもらったことなどを伝えました。
「アリョーシャ、明日の朝早くお前に会えると、実に嬉しいんだがね」と、中腰になって、「イワン」が愛想よく言いました。
「アリョーシャ」にとっては、まったく思いもかけぬ愛想のよさでした。
そういえば、本人はあまり気にしていないようでしたが、「アリョーシャ」は「フョードル」に修道院を引き払って帰って来るように言われていたのでしたね。
「イワン」はそのいきさつを知っていますので、「アリョーシャ」はもうここには戻って来ないということを知らせたのですね。
そして「イワン」は頭が痛いと言って庭に出たのですが、そのような様子はありませんからひとりになりたかったのかもしれませんね。
ここで、「イワン」もまた「フョードル」と同じように明日の朝「アリョーシャ」に会いたいと言っています。
しかもふたりとも「明日朝早く」と言っています。
「明日朝早く」話さなければならない何かがあるのでしょうか。
「明日はホフラコワさんにお宅に伺うもんで」と、「アリョーシャ」は答えました。
「それに、カテリーナ・イワーノヴナのところへも、もし今会えなければ、やはり明日伺うことになるかもしれませんし」
そう言って「アリョーシャ」は明日の朝、「イワン」に会うことを断っていますが、「フョードル」とは会うことを約束しています。
そこには当然「イワン」もいるわけですから、「アリョーシャ」はそっと家に入り「フョードル」だけに会うつもりでしょうか。
しかし、召使たちもいるわけですからそういうことはできないでしょう。
「アリョーシャ」も「イワン」には、用事があるから来れないと断っておきながら、「フョードル」の言うように、自分の意志で見舞いに来たふりをして来れるのでしょうか。
「アリョーシャ」はこれから、「カテリーナ」に会いに行かなければならないので急いでいますので、いろいろ考える余裕がないかもしれませんが、明日の朝のことはどうするつもりでしょうか。
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