「そんなにお待ちしていたというのも、今となっては本当のことをすっかりききだせるのは、あなたからしかないためですの、ほかにはだれもいませんもの!」
「イワン」は「アリョーシャ」よりもっと「ドミートリイ」と交流があるように思いますが、「カテリーナ」はまだ二回目でまとにもはなしたこともない「アリョーシャ」にそんなことを言っています。
「僕がお伺いしたのは・・・」と、口ごもりながら、「アリョーシャ」はつぶやきました。「僕はあの・・・兄の使いで来たんです・・・」
「まあ、お兄さまのお使いですって。あたくしもそんな予感がしてましたのよ。これですっかりわかりましたわ、何もかも!」と、ふいに目をきらりとさせて、「カテリーナ」は叫びました。「ちょっとお待ちになって、アレクセイ・フョードロウィチ、あたくしがなぜこんなにあなたをお待ちしていたのかを、先に申しあげますわ。実はあたくし、たぶん、当のあなたよりずっといろいろ知っているはずですの。ですから、あたくしに必要なのは、あなたの情報じゃございませんのよ。こういうことが必要なんです。つまり、お兄さまに関するあなたご自身の、個人的な最近の印象をぜひ伺いたいんですの。今日お会いになったあとで、今あなたご自身がお兄さまや、お兄さまの状態をどうごらんになってらっしゃるかを、ごく率直に飾らずに、大ざっぱでも結構ですから(ええ、どんなに大ざっぱでも結構ですわ!)ぜひ話していただきたいんです。そのほうが、ここへ来るお気持ちがもうお兄さまにない以上、あたくし自身がお兄さまとじかに話し合ったりするより、いいかもしれませんわ。あたくしが何をあなたに望んでいるか、おわかりになって?それじゃ、どんな用事でお兄さまがあなたをここへよこしたのか(あなたをお使いによこすってことは、ちゃんとわかっていましたわ!)簡単に、ごくかいつまんで話してくださいませな!」
相手のことを考えないで、いきなりこのように感情的で自分本意なことを言うというのは、やはり高慢で高圧的で傲慢でぞんざいで自信家と言われてもしかたがないと思うのですが、要点を最初に相手に知らせておくということは合理的とも言えますね。
特に「簡単に、ごくかいつまんで話してくださいませな!」なんてなかなか言えないと思います。
あるいは、「カテリーナ」は「アリョーシャ」を一目見てこういう態度に出た方がいいと思ったのかもしれませんが。
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