2017年4月5日水曜日

370

「俺はあれほどお前に、チェルマーシニャに行ってきてくれと頼んだんだぞ・・・一日か二日でもいいからって。それなのにお前は行ってくれないじゃないか」

「そんなにおっしゃるんなら、明日にでも行ってきましょう」

「行くもんか。お前はここで俺を見張っている肚なんだ、それが狙いなのさ、意地わるめ、どうして行ってくれないんだよ?」

老人は静まる気配もありませんでした。

それまでおとなしかった酔払いが、突然くだを巻き、威張りちらしたくなる、酔いの限界に達したのでした。

前に(341)で「ドミートリイ」がこう言っていました、「そうさ。極秘だぜ。イワンでさえ、金のことも何も知らないんだ。一方、爺はイワンを三日か四日の予定で、チェルマーシニャ村へやる肚なのさ。あの林を八千ルーブルで伐採する買手があらわれたもんだから、親父のやつ、『一肌ぬいで、お前が行ってきてくれよ』なんて、イワンを口説いてるんだ、つまり、二日か三日の予定でさ。その留守の間にグルーシェニカを来させようというのが、親父の肚だよ」と。

そして、それを隣家の庭でずっと見張っている「ドミートリイ」です。

「フョードル」は「イワン」がチェルマーシニャに行かずに、「グルーシェニカ」が来ないように自分を見張っているんだと言っています。

つまり、「ドミートリイ」と「イワン」は見張っている訳ですね。

この場にいる「アリョーシャ」は「ドミートリイ」の発言を聞いていますから、なぜ「フョードル」が「イワン」に早くチェルマーシニャに行けと言っているのかがわかりましたね。


「なんだって俺をじろじろ見るんだ?なんて目をしてる?お前の目は俺をにらんで、『酔いどれめ』と言っとるぞ。うさん臭い目をしよって。ばかにしたような目をしよって・・・お前は何か下心があって乗りこんできたんだな。ほら、アリョーシカだって俺を見ているが、これの目はかがやいとる。アリョーシャは俺を軽蔑しとらんからな。アレクセイ、イワンなんぞ好きになるなよ・・・」


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