2017年5月22日月曜日

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『アレクセイ・フョードロウィチ』と彼女、つまり「リーズ」は書いていました。

『みんなに、お母さまにも内緒でお手紙を書いています、いけないことだとは知っています。でも、あたしの心に芽生えたものをあなたに打ち明けずには、これ以上生きていかれないのです。このことは当分あたしたち二人以外の、だれにも知られてはなりません。でも、こんなにお話ししたいと思っていることを、どうやって言えばよいのでしょう?紙は顔を赤らめないなどと言いますけれど、本当のことを言って、それは嘘です。紙も今のあたしと同じように、真っ赤になっていますもの。いとしいアリョーシャ、愛しています。まだ子供のころ、あなたがまるきり今みたいではなかったモスクワ時分からお慕いしていましたけれど、今は終生あなたを愛します。あなたと結ばれ、年をとったらいっしょに人生を終えるため、あたしの心があなたを選んだのです。もちろん、あなたが修道院を出るという条件付きで。二人の年齢のことは、法律で定められた年まで待ちましょう。そのころまでには、あたしもきっと快くなって、歩いたり、ダンスをしたりできることでしょう。その点は言うまでもありません。
あたしがすべてをどれほど考えたか、おわかりのことでしょう。でも、一つだけ、どうしても考えつかないことがあります。この手紙をお読みになって、あなたはあたしのことをどうお思いになるでしょうか?あたしはいつも笑ったり、ふざけたりばかりしていますし、さっきもあなたを怒らせてしまったくらいですもの。でも、本当のことを言って、今ペンをとる前に、あたしは聖母さまの像にお祈りしました。今もお祈りをして、もうちょっとで泣きだしそうになっています。

まだ、手紙の途中ですが。

これはラブレターですが、メールで気持ちのやりとりをするようになった今ではほとんど存在しなくなったのではないでしょうか。

メールならば、かりに一定期間保存しておいたとしてもいずれ消去されるでしょうが、手紙はそのまま残ります。

しかも、文章もメールよりはるかに長いですから、書いた方の意思がそのまま反映されています。

この時代はロシアでは女性からラブレターを送ることは一般的だったのでしょうか、日本ではあまりないことだと思いますが。

「リーズ」はかなり「アリョーシャ」を愛していると思いますが、結婚するにあたっては「あなたが修道院を出るという条件付きで。」という一文があります。

このへんは、「アリョーシャ」が修道院を出るということについてのなんらかの確証を「リーズ」は持っているのでしょうか。


「アリョーシャ」からそういう話はされていないと思いますので、ホフラコワ夫人を経由してどこかからそのような情報が巡りきたのかもしれません。


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