2017年9月14日木曜日

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「僕にはまたわからない」

「アリョーシャ」が口をはさみました。

「大審問官は皮肉を言って、からかっているんですか?」

「とんでもない。老審問官は、ついに自分たちが自由に打ち克ち、しかも人々を幸福にするためにそうやってのけたことを、自分と部下たちの功績に帰しているのさ。『なぜなら今こそやっと(つまり、彼の言っているのは異端尋問のことなのだ)、はじめて人々の幸福について考えることが可能になったからだ。人間はもともと反逆者として作られている。だが、はたして反逆者が幸福になれるものだろうか? お前は警告を受けていたはずだ』と彼はキリストに言う。『警告や指示に不足はなかったはずなのに、お前は警告をきこうとせず、人々を幸福にしてやれる唯一の道をしりぞけてしまったのだ。しかし、幸いなことに、去りぎわにお前はわれわれに仕事を委ねていった。お前は約束し、自分の言葉で確言し、人々を結びつけたり離したりする権利をわれわれに与えた。だから、もちろん、今となってその権利をわれわれから取りあげるなぞ、考えることもできないのだぞ。いったい何のためにわれわれの邪魔をしにきたのだ?』」

ここで言う「警告や指示に不足はなかったはずなのに」とは何でしょうか。


また、「去りぎわにお前はわれわれに仕事を委ねていった。お前は約束し、自分の言葉で確言し、人々を結びつけたり離したりする権利をわれわれに与えた」とはどういうことを言っているのでしょうか。


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