2017年10月25日水曜日

573

宿場は簡単にやりすごし、馬をつけ替えて、ヴォローヴィヤに突っ走しりました。

宿場というのは、何キロごとにあるのでしょうか、そして馬も変えるのですね。

『なぜ、賢い人とはちょっと話してもおもしろいのだろう、あの言葉で何を言おうとしたのだろう』

突然、息がつまる思いがしました。

『それに、何のつもりで俺はあの男に、チェルマーシニャに行くことを報告なんぞしたんだろう?』

ヴォローヴィヤの宿場につきました。

(571)で「イワン」の行程を「今いる場所(スターラヤ・ルッサ=カラマーゾフの舞台)から馬車で八十キロ走り、鉄道の最寄駅に到着し、そこから50キロちょっとでヴォローヴィヤ駅、それから馬車で「せいぜい十二キロかそこら」でチェルマーシニャに着き、そこで用事を済ませて、神父に馬車でヴォローヴィヤ駅まで送ってもらい、モスクワまで行くということになります。」と書いたのですが、違っていましたね。

鉄道を使ってヴォローヴィヤの駅へ行ったのではなく、ヴォローヴィヤの宿場まで直接馬車で行ったのですね。

「イワン」が幌馬車を出ると、馭者たちが取りかこみました。

チェルマーシニャまで、十二キロの田舎道を個人営業の馬車で行くことに話がつきました。

彼は馬をつけるよう命じました。

宿場に入りかけ、あたりを眺めて、おかみの顔をちらと見るなり、ふいに彼は表階段に引き返しました。

「チェルマーシニャへは行かなくていい。どうだい、七時の列車に遅れないだろうか?」

(569」で「とんでもない、だめですよ。鉄道まで八十キロもあるのに、モスクワ行きの列車が出るのは晩の七時なんですからね。ぎりぎり間に合うのがやっとなんです」との「イワン」の発言がありあしましたが、これは七時にヴォローヴィヤ駅発のモスクワ行きがあるということでしょうか、それによっては考えていた位置関係が変わってきますがよくわかりません。

とにかくここでは、ヴォローヴィヤの宿場からヴォローヴィヤの駅まで七時に着くように馬車を走らせてくれということですね。

「どんぴしゃり、間に合わせますって。馬をつけましょうか?」

「すぐにつけてくれ。君らの中でだれか、町へ明日行く人はいないかね?」

「いますとも。このミートリイが行きまさあ」

この「ミートリイ」は、駅まで「イワン」を運ぶ馭者とは別人物でしょう。

「ひとつ頼みをきいてくれんかな、ミートリイ? 僕の親父のフョードル・カラマーゾフのところへ寄って、僕がチェルマーシニャへは行かなかったと伝えてほしいんだ。やってくれるかい、どうだ?」

この「ミートリイ」のあとの「?」は、「ドミートリイ」を意識したようでおかしいですね。

「いいですとも、お寄りしましょう。フョードルの旦那なら、昔から存じあげてまさ」

「じゃ、これを酒手に。親父はたぶんくれないだろうから・・・・」

「イワン」は快活に笑いました。

「まったくの話、くださいませんよ」

「ミートリイ」も笑いだしました。

「恐れ入りますね、旦那。必ずいたしときますから・・・・」


それにしても、「イワン」の気の変わり様はすさましいですね、こんなことは予想もできませんでした、つまりそれは以前に読んだ時の記憶が残っていないということですが。


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