「カテリーナ・イワーノヴナなら、何もかもわかってくれますよ」
だしぬけに「アリョーシャ」が真剣な様子で言いました。
「この不幸を奥底まで理解して、きっと大目に見てくれますよ。あの人は最高の知性をそなえているはずです。だって、兄さんより不幸な人はないってことを、あの人は言われなくたって見ぬくでしょうからね」
「アリョーシャ」は「カテリーナ」のことを「最高の知性」とまで言っています。
しかし、彼は彼女を恐れており、その恐怖を説明できぬことが、その恐ろしさをいっそう強めていたのであり、その正体は明かされていません。
ここで、彼女が「ドミートリイ」については「あの人は言われなくたって見ぬくでしょう」と言っていますが、その恐れというのは、この「見ぬく」ということかもしれません。
そういう力があり、「アリョーシャ」は自分の中の隠された部分を見ぬかれるかもしれないと恐れているのかもしれません。
「彼女はすべてを大目に見てくれやしないさ」
「ドミートリイ」はにやりとしました。
そして、「ここにはね、お前、どんな女でも大目に見るわけがいかない問題があるんだ。じゃ、どうすればいちばんいいか、わかるかい?」
「どうするんです?」
「彼女に三千ルーブル返すのさ」
まるで禅問答のようですね、ないものをあるとする。

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