「さっきあなたが言ってらしたのは・・・全然違っていたのに」と、「カテリーナ」がやっとこれだけ言いました。
「ああ、さっきはね!だって、あたしは気が弱くて、ばかなんですもの。あたしのために、あの人がどんなに辛い思いをしたかを考えただけで、とても!でも、ひょっとして、家に帰って、あの人が気の毒になったら、そのときはどうしましょう?」
こんなことを言われればどうしようもないですね、「カテリーナ」もちょっとまともには話せないでしょう。
天国からまっさかさまに地獄に落ちたような気分でしょう。
「意外だったわ・・・」
「ああ、お嬢さま!あなたはあたしに対して、なんて善良に高潔に振舞ってくださるんでしょう。でも、今度こそ、あたしみたいな、こんなばかな女には愛想がつきたでしょうに、こんな性格の女ですもの。あなたのかわいらしいお手を貸してくださいませんこと、お嬢さま」と、彼女はやさしく頼み、さもうやうやしげに「カテリーナ」の手をとりました。「やさしいお嬢さま、あたし、こうしてあなたのお手をとって、あなたがしてくださったのと同じように、キスしますわ。お嬢さまは三回キスしてくださったから、おあいこにするには、お返しに三百回キスしなければなりませんわね。それが当然で、そのあとは神さまのお言いつけしだいで、お嬢さまの完全な奴隷になって、何から何まで奴隷のようにお仕えしたいと思うかもしれませんわ。神さまのお考えどおりにすれば、お互いの間の申し合せだのなくたって、なるようになりますもの。まあ、かわいい手、かわいらしい手ですこと、ほんとにかわいい手!やさしいお嬢さま、信じられないくらいお美しいお嬢さまですわね!」
この「神さまのお言いつけしだいで」というのは、どういうことがわかりませんが、これは、「グルーシェニカ」自身が、神さまならばどう言うかを思い計ることでしょうか。
また、「お互いの間の申し合せだのなくたって、なるようになりますもの。」というのは、いろいろな策を練らなくとも、なるようになるということで、たぶん「カテリーナ」がこれから三角関係を解消するためにどうしたらいいかと彼女と相談して善後策を決めるような面倒なことを否定しているのでしょう、なるようになると言っているのですから。
そもそもふたりは性格がまったく違うということです。

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