今場面は「カテリーナ」が叫び声をあげて「グルーシェニカ」にとびかかろうとしているのを「アリョーシャ」が全力でとめている最中ですが。
その瞬間、叫び声をききつけて「カテリーナ」の叔母が二人とも部屋に駆けこんできましたし、小間使も駆けつけました。
みなが「カテリーナ」に走りよりました。
「ええ、帰るわ」とソファからケープを拾いあげて、「グルーシェニカ」が言い放ちました。「アリョーシャ、いい子だから送ってちょうだい!」
こんなことを言われて、もしも自分が「アリョーシャ」ならどう言えばいいのか迷います。
しかし、迷っている時間はありません。
「帰ってください、早く帰ってください!」と「アリョーシャ」は祈るように彼女に両手を合わせました。
「ねえ、アリョーシェニカ、送ってよ!途中で一ついいことを教えだげるわ!こんなシーンは、あんたのためにしてあげたのよ。送って、いい子ちゃん、あとで気に入るわよ」
「アリョーシャ」は手をもみしだきながら、顔を背けました。
「グルーシェニカ」はよく透る声で笑いながら、家を走り出ていきました。
やっと、一息つけますね。
「グルーシェニカ」が「いいことを教えだげる」とか「こんなシーンは、あんたのためにしてあげたのよ」とか「あとで気に入るわよ」とか言えば反対に「アリョーシャ」はついて行きづらくなるでしょう。
たぶん、「グルーシェニカ」もわかって言っているのでしょう。
そうでなくとも、今回の問題を引き起こした原因ともいえる「グルーシェニカ」より、そして先ほどの会話で突然の破綻を作り出した彼女より兄の婚約者の「カテリーナ」の方に肩入れするのは当然かもしれません。

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