「どうしてわかったんだ? お前が教えたんだな? よくも教えたりできたもんだな?」
「恐ろしさのあまりでございますよ。それに、あの方の前でどうして黙りとおしていられましょう? ドミートリイさまときたら、毎日のように『貴様は俺を欺してるな? 俺に何を隠してる? 両足ともへし折ってくれるぞ!』と責めたてるんですからね。ですから、せめてわたしの忠義ぶりを認めていただいて、それによってわたしが欺すどころか、何でも教えていることを納得していただくだめに、秘密の合図をお教えしたんでございますよ」
「スメルジャコフ」は主人との秘密を「グリゴーリイ」にも「イワン」にも喋ってしまったんですね。
「もし、兄貴がその合図を悪用して、押し入る気でいると思うんだったら、お前が通さなけりゃいいじゃないか」
「ドミートリイさまがあれほどやけくそになっておられるのを承知のうえで、お通ししないなどという勇気をふるえることが、かりにあるとしましても、肝心のわたしが発作で倒れていたら、お通ししないもヘチマもないじゃございませんか」
「えい、畜生! どうしてお前は、発作が起るとそんなに決めてかかっているんだ、いまいましい! 俺をからかってるのか、どうなんだ?」
「からかうなんて、そんな大それたことができますか、それにこんな恐ろしい場合に、冗談どころじゃございませんよ。発作が起りそうな気がするんです。そんな予感がいたしますんで。この恐ろしさからだけでも、きっと起るにちがいありませんよ」
「えい、くそ! お前が寝込んだら、グリゴーリイが番をするだろうさ。前もってグリゴーリイに注意しておけば、通しやしないよ」
確かに「グリゴーリイ」にその役割を変わってもらえば、問題ない訳ですね。

0 件のコメント:
コメントを投稿