女たちは笑いくずれました。
「おかしな子だね」
一人がつぶやきました。
「だれなんだい、そのサバネーエフってのは?」
若者は右手をふりまわしながら、なおもむきになってくりかえしました。
「それはきっと、クジミーチェフのところに奉公してた、あのサバネーエフのことだわ。そうよ、それにちがいないわ」
ふいに一人の女が思い当って言いました。
若者はふしぎそうに女を見つめました。
「クジミーチェフのとこの?」
別の女が言い返しました。
「あの人はトリフォンなもんか? あれはクジマで、トリフォンじゃないわよ。今の子はトリフォン・ニキーチッチと言ってたもの、あの男じゃないわよ」
私はここのところが何なのかさっぱりわかりません、「コーリャ」はこの興奮して出て来た町人をはぐらかすために、たまたま思いついた名前を言っただけです、それを受けて市場の女たちがあれこれと思いつきを喋っているだけで、まったく意味がないと思われるシーンです、作者がどうしてこのようなところを描いているのかわかりません、膨大な原稿量がさらに増えるだけです。
「あの男はトリフォンでもなけりゃ、サバネーエフでもないわ。チジョフっていうのよ」
これまで黙って真剣にきいていたもう一人の女が、だしぬけに口をはさみました。
「アレクセイ・イワーヌイチって名前だもの。アレクセイ・イワーヌイチ・チジョフっていうのよ」
「あの人はたしかにチジョフにちがいないよ」
さらに別の女がしつこく相槌を打ちました。
呆然とした若者は女たちをかわるがわる眺めていました。
「それにしても、なぜあいつはあんなことをきいたのかな、どうしてきいたんだろう、みんな?」
もはやほとんど自棄ぎみに彼は叫びました。
「『サバネーエフを知ってるんだろうね?』なんて。そんなやつ知っちゃいねえよ。サバネーエフとは、いったいどこのどいつだい?」
「あんたも物分りのわるい人だね、サバネーエフじゃなく、チジョフだって言ってるじゃないのさ。アレクセイ・イワーヌイチ・チジョフだってば。いいわね!」
一人の物売り女が教えさとすように叫びました。
「どこのチジョフだい? え、どういうやつだい? 知ってるんなら、教えてくれよ」
「のっぽで、髪の長い男さ。夏に市場に来てたわよ」
「そのチジョフが、俺にいったい何の用があるんだい、え、みんな?」
「チジョフが何だろうと、あたしの知ったことじゃないわよ」
「その男があんたに何の用があるか、知っちゃいないよ」
別の女が相槌を打ちました。
「そんなにわめきたてるからには、何の用があるのか、自分でわかってるはずだよ。あの子はあんたに言ったんで、あたしたちにじゃないんだから。あんたもばかな男だね。それとも、ほんとに知らないのかい?」

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