「僕らはみんなで治安判事のところへ行ったよ、鵞鳥をぶらさげてね。見ると、例の若い衆は臆病風に吹かれて、泣きだすじゃないか。女みたいに泣いてるんだ。一方、鵞鳥屋は『あんなふうに鵞鳥をやられたんじゃ、何羽いたってみんな轢き殺されちまわあ!』って、わめきたてるしね。もちろん、証人もいる。治安判事はすぐ決着をつけてくれたよ。鵞鳥の代金として一ルーブル鵞鳥屋に払い、鵞鳥は若者が引きとる。今後は決してこんないたずらはしないこと、というわけさ。例の若い衆はそれでもまだ女みたいに泣いて、『俺がわるいんじゃない。あいつが知恵をつけたんだ』なんて言いながら、僕を指さすじゃないか。僕はきわめて冷静に、知恵をつけたおぼえはない、僕は基本的な発想を話しただけで、それも計画として述べたにすぎない、と答えてやったよ。治安判事のネフェードフは苦笑したけど、すぐに自分が苦笑したことに腹を立てて、『君が今度こんな計画に熱中せず、代りに本の前に向って勉強をするように、学校当局に通告するからね』なんて、おどかしたよ。判事は学校へ通告なんぞしなかったさ。冗談なんだ。でも、この一件は本当に噂が広まって、学校当局の耳に入っちまったんだ、なにしろ早耳だからね! 古典語のコルバスニコフが特にいきりたったし、ダルダネーロフはまたかばってくれたよ。あのコルバスニコフのやつ、このごろじゃ、まるで若い驢馬みたいに僕たちみんなに当り散らすんだ。あ、きいたかい、イリューシャ、あいつ結婚したんだぜ。ミハイロフ家から千ルーブルの持参金をもらったんだけど、その花嫁たるや、まさにこれよりひどいのはないってほどの、おかちめんこでさ。三年生の連中はすぐにこんな替え歌を作ってやったんだ。
不精なコルバスニコフが嫁をとる、
あっとおどろく三年生。
まだこの先があって、実にこっけいなんだ。今度持ってきてあげるよ。ダルダネーロフに関しては、僕は何も言わない。学識のある人さ、学識は断然豊かだよ。ああいう人なら僕は尊敬するな、べつにかばってもらったから言うわけじゃないけど・・・・」
一ルーブルは約千円ですので、この首のない鵞鳥の代金は千円以下なのでしょうか。
「それでも、トロイを創ったのがだれかということで、あの先生をへこませたものね!」
突然、「スムーロフ」が、この瞬間「クラソートキン」を自慢したくてたまらずに、口をはさみました。
今の鵞鳥の話がひどく気に入ったのです。

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