「なぜ? 十三かそこらの年で、何かを燃やしたくてたまらずに、放火する子供だっていますからね。一種の病気ですよ」
「嘘よ、嘘、そういう子供がいたってかまわないけれど、あたしが言うのはそのことじゃないわ」
「あなたは悪いことと良いことを取り違えているんです。一時的な危機ですよ。これは、ことによると、以前の病気のせいかもしれませんね」
「やっぱりあたしを見くびっているのね! あたしはただ良いことをしたくないだけ。あたしは悪いことをしたいの?」
「なぜ悪いことをしたいの?」
「どこにも何一つ残らないようにするためよ。ああ、何一つ残らなかったら、どんなにすてきかしら! ねえ、アリョーシャ、あたし時々、さんざ悪事の限りをつくし、ありとあらゆるいまわしいことをやってのけたいと思うわ、それも永いことかかってこっそりやるのよ、そして突然みんなが感づくのね。みんながあたしを取り囲んで、あたしを指さしているのに、あたしはみんなを笑ってやるんだわ。とっても楽しいじゃないの。なぜこれがこんなに楽しいのかしら、アリョーシャ?」
「どこにも何一つ残らない」とはどういうことなのか、私はわかりません、そしてこの「リーザ」の気持ちについていくことができません。
「そうだな。何か立派なものを踏みにじりたい、でなければあなたの言ったように、火をつけてみたいという欲求でしょうね。これも往々にしてあるもんですよ」
「立派なものを踏みにじりたい」という気持ちがあるというのはわかりますが。
「だって、あたしは口で言うだけじゃなく、ほんとにやってみせるわ」
「信じますよ」
「ああ、あなたって大好き。信じますよ、なんて言うんだもの。あなたって全然、まるきり嘘がつけないのね。でも、ひょっとしたら、あなたをからかうために、わざとあたしがこんなことを言っていると、思っているのかもしれないわね?」
「いいえ、思ってませんよ・・・・もっとも、ことによると、多少そういう気持はあるかもしれませんね」
「多少あるわよ。あたし、あなたに対しては決して嘘をつかないわ」
彼女は何かの炎に目を燃えあがらせて、言いました。
「アリョーシャ」を何よりもおどろかせたのは、彼女の真剣さでした。
以前ならばどんな《真剣な》瞬間にも、朗らかさと冗談味を失わなかったのに、今の彼女の顔には、おどけた調子や冗談味は影もありませんでした。
とうことは、「リーザ」はどうして以前と変わったのでしょうか、そしてその変化はどういう意味を持つのでしょうか。

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